TBMの「挑戦する人づくり」を支える“Circular People Management”とは

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藤﨑育子/ピープル&カルチャー本部 本部長(※副部門長クラスによる部門長代行として)
京都府出身、東北大学大学院卒業後、組織開発や経営計画・人事制度構築などのコンサルティング業務に従事(㈱ビジネスコンサルタント)、ネットメディアの広告に関わる戦略立案・分析業務に従事(ヤフー㈱)し、㈱コーチ・エィの研究部門にてエグゼクティブチームの変革・リーダーシップ、コーチング、組織開発に関わる研究、商品企画等に携わる。2022年、TBM入社。2023年、ピープル&カルチャー本部 本部長に就任

TBMでは2023年度、「Circular People Management」というコンセプトを基に、「TBMの未来を描き、挑戦する人づくり」に取り組んでいます。Circular People Management策定の中心となったピープル&カルチャー本部の藤﨑さんに、その内容と目指すところ、具体的な施策について聞きました。

目次

#1. 人も組織も事業も「循環」の概念で捉える

——「Circular People Management」の策定はどんな経緯で始まったのですか。

2020年にTBMの企業理念体系としてTBM Compassがつくられ、そこでVisionとして「過去を活かして未来を創る。100 年後でも持続可能な循環型イノベーション。」が掲げられました。

TBMで働くメンバーは、TBM Compassに共感し、自ら未来を描き、強い志をもって、自ら設定した課題に挑戦をしています。

そして挑戦しているメンバーは、互いに影響し合いながら、自分が挑戦している意味、お客様や社会との関係・自分達の存在意義や役割、メンバー同士が共創するためのルールや仕組みを創り上げてきましたし、常に挑戦しながら創り上げたものを変化させ続けています。

TBMでは、挑戦する人々が常に互いに影響し、変化し、成長しながら組織・事業を創り続けている。私たちはこの、人と組織の成長し続けるプロセスを「循環」と捉えています。

──なるほど「Circular」にはそういう意味が込められているんですね。

そんな背景から、「Circular People Management=循環型人材マネジメント」という概念は、私が入社する前から存在していました。
私は2022年10月、組織づくりの専任者として入社しました。入社してすぐにTBMの人づくりや、改めてCircular People Managementを考えていくにあたり、前任のマネジャーと「TBMはどのようにつくられてきたのか?」について議論を始めました。

もともと私は、TBM Compassの中にあった「TBMは未来を思い描き、挑戦し続ける人をつくる会社である」という言葉に惹かれて入社を決めたんです。だから結構、基本から考えたんですよね。そもそも「人をつくる」とはどういうことなのか。TBMの社名の基となっているTimes Bridge Managementの「Time」とは何を意味し、「Bridge」はどこからどこへ架けるのか。そういったいわば哲学的な問答を、マネージャーと2、3週間は続けました。最低1時間、多いときは週に3回くらいだったでしょうか。

これまで社内で組織づくりについてどんな議論をしてきたのかを把握しなければなりませんでしたし、部門長やマネージャーはこれまで社長をはじめ社内のいろんな人と話をしてきた中でつくってきたものがあるので、それらを活かしてコンセプトをつくっていきたかったんです。

#2. 「TBMは人をつくる会社」というメッセージに惹かれた

——藤﨑さんはTBMへの入社以前もずっと組織開発に関わる仕事に関わってきたわけですが、組織づくりに関してどのような考え方をベースにお持ちですか。

私は長らく、組織開発のコンサルティングや研究開発の仕事をしてきました。最近では、社会に存在するあらゆるものは人と人の対話を通して意味づけされるという「社会構成主義」の考え方に基づく組織開発に携わってきました。でも実際は組織も社会も、人と人の関係だけでなく、人間と物の関係とか物と物との関係によってもつくられている。物や自然を一定もしくは人がコントロールできると考え、人間を中心に捉えてきたけれど、その発想では今世界で起こっている問題は解決できないんじゃないかと思うようになりました。

そんな事を考えているときに「アクターネットワークセオリー」という概念を知りました。人と物、自然といったあらゆるもの(アクター)は並列で社会を構成していて、絶えず変化して作用しあっているというものです。環境問題であれば、自分も全体の問題の一部であるということを理解しながら携わっていくことが世の中を変えていくみたいな考え方ですね。すっごくざっくり言うと(笑)。 自分にとって結構、衝撃的で、今はこれが私の組織開発のベースです。

——確かに、人間が影響を受けるのは人間からだけではありませんよね。

私は京都の出身なのですが、人間だけじゃなく建物や自然と共に社会や街がつくられ、歴史や文化がはぐくまれているという感覚は、振り返れば昔からありました。

——そんな中でTBMと出会ったわけですね。

はい。さっき言ったように、TBM Compassを見ると「TBMは人をつくる会社です」と書かれているわけです。また、Circular People Managementという考え方も持っている。人を物と捉えて切り捨てていくわけではなくて、持続可能な環境の中で人は周りとの関係によってどんどん変わり続け、永遠にアップデートされていくという発想がとても面白かった。

しかも、人だけではなくて、事業としても素材や資源循環で物を扱っている会社です。 人と物の関係、世の中と物との関係を変えていこうとしているところに、俄然興味を持ったわけです。組織開発としては新しい領域になるかな、と。

#3. 自(おのず)から感動が連鎖する場を創造し続ける

——TBMの企業理念体系であるTBM Compassは、社員1人ひとりの判断の拠りどころとして文字通り”羅針盤”の機能を果たしていますが、今回は、組織開発の立場から「挑戦し続ける人」とはどんな人物像で、そういう人を育てるにはどういうアプローチが必要なのかを定義したということですね。

はい。まずはCircular People Managementという用語を再定義しました。個人の成長と会社の成長が循環し続けるような組織づくりというのを、よりTBMらしい言葉で表現したかった。

徹底的に議論して、たどりついたのが「Circular People Managementとは、自(おのず)から感動が連鎖する場を創造し続けること」です。

山﨑社長はことあるごとに「感動」という言葉を使いますし、TBMの採用基準にも「一緒に感動できるかどうか」をうたっています。挑戦し続ける組織とはどんなものかと考えたとき、社長の言葉に従うと、やはり「感動」なんだと思いました。

もう一つのキーワードは「場の創造」です。TBMに入ったら、自ずから挑戦したくなり、自ずから主人公になっていくといった場を、我々は創り続けたい。それは社内だけでなく、外部の方からも「TBMと関わると、なぜかわからないけど一緒に新しい試みをしてみたくなる」と思ってもらえるような組織にならないと、サステナビリティ革命なんて起こせない。だとすると人事部門の役割は、そういう場の創造をマネジメントすることだと考えたんです。

Circular People Management とは、自(おのず)から感動が連鎖する場を創造し続けること

◆TBMの感動は、関わってくださる方々のおかげで自分達がいることを認識し、常に周囲の人々に感謝し謙虚な姿勢で仲間と共に熱狂的にVision実現に向けMissionを遂行している状態です。
◆Mission遂行過程では、自分と仲間やTBMに関わってくださる方々との関係、自分と事業を取り巻く環境との関係が変わり続け、私達は変容し続けます。
◆感動が連鎖する場を創造するとは、1人ひとりが感動を体験しながら、その感動を語ること、誰かの感動を追体験すること。これらの相互作用によって創造される場を生成し続けることです。

——その上で、「感動」や「連鎖する場を創造する」といった言葉の定義もしています。

「感動」とは何かということについては、「TBMの感動は、関わってくださる方々のおかげで自分達がいることを認識し、常に周囲の人々に感謝し謙虚な姿勢で仲間と共に熱狂的にVision実現に向けMissionを遂行している状態です」としました。

ここでは「熱狂的に」という文言を使いました。熱狂という言葉はライブで盛り上がっているみたいに一瞬の興奮状態であって、持続可能性とは対極にありそうな印象ですが、スタートアップとして世の中を変えていこうとか、一気に成長していくんだといった今のタイミングでは、そのくらいの勢いがないと難しいんじゃないかと思うんです。だから、あえて入れた言葉です。

次に「成長とはどういうことか」を定義しました。「Mission遂行過程では、自分と仲間やTBMに関わってくださる方々との関係、自分と事業を取り巻く環境との関係が変わり続け、私達は変容し続けます」

人が育つというのは、変容し続けることにほかならないと考えています。変わるのはいいけれど、どうやって良い方向に導くんですかと聞かれることもありますが、「変わっていればOK」くらいでいいんじゃないかと思います。 その代わり、周囲と影響し合って変わり続け、過去を変え続け未来を変化させ続けていく。そういう連鎖が起きていることこそが大切なので。

そして3つ目は「場を創造する」の定義です。「感動が連鎖する場を創造するとは、1人ひとりが感動を体験しながら、その感動を語ること、誰かの感動を追体験すること。これらの相互作用によって創造される場を生成し続けることです」

仲間の感動を自分の感動と捉えられるというのは、素直な感情ですよね。自分の体験だけでは限界があるけれど、仲間が体験したことも取り込んでいけるという状態をつくりたい。そういう相互作用によってTBMという組織がつくられていくという思いを最後に込めました。

——Circular People Managementを実践する人についても定義しています。

そうですね。TBMメンバーとしての人物像もさることながら、管理職はTBMのVision実現に向け変容していくよう多くのメンバーと関わり、沢山の感動を体験する機会を創出することを促す。さらに社外の人々との関係についても言語化しました。

Circular People Managementを実践する人とは、

◆TBM Compassを羅針盤に自らのMissionを見出し仲間と共にVision実現に向け取り組んでいるとき、TBMの全てのメンバーは、それぞれの立場で感動が連鎖する場を創っている人です。
◆TBMの管理職とは、メンバー1人ひとりが、自(おのず)からTBMのMissionを軸にVision実現に向け変容していくように関わり続けている人です。つまり、多くのメンバーと関わり、TBMのメンバーが沢山の感動を体験する機会を創出する人です。
◆社外の人々との関係においては、“過去を活かして未来を創る。100年後でも持続可能な循環型イノベーション”に向けた取り組みで、TBMを支援してくれている方々、家族、持続可能な生活を願う人々、等との間に感動が連鎖する場を創造している人です。

#4. 一般的な人的資本投資の視点とは違った独自のアプローチ

——以上を踏まえ、2023年の具体的な施策としてはどんなものがありますか?

いくつかあるのですが、ひとつ挙げるとしたら「架橋塾」です。社長・経営陣からTBMのDNAを引き継ぎ、成長する視点や視座を学びアップデートし続ける場として、以前から行っている施策ですが、今期は「TBMを語る、営業マインドの醸成」をテーマに、メンバー1人ひとりが営業マインドで、社外の人々にTBMでの自身の体験を魅力的に語り、メンバーや社長、経営陣からフィードバックをもらうという内容となっています。TBMを自分ゴトとして社外の人に語る内容をバージョンアップしていくことによって、メンバー自身とTBMのファンが増え、TBMの価値が高まっていく状態をつくることを目的にしています。

部門長向けには、社外のそうそうたる経営経験者を招いて、本社・テクノロジーセンター・各工場の全部門長が自部門の現状や課題をプレゼンし、対話を通じてフィードバックをいただく定例のセッションの場を持つことを始めました。経営コンサルタントから一方的に意見をもらうといったスタイルではなく、毎回10人弱の元経営者がご参加してくださり、TBMの未来について対話するんです。さまざまな経験をしてきた先人たちの視点を自分たちに取り込み、そこから自分たちの未来を描いていくという場です。

——ところで、組織づくりに関しては昨今、経営戦略と人材戦略が連動して機能しているかどうか、いわゆる「人的資本」に関する情報開示が求められています。

人的資本の情報開示のガイドラインであるISO30414をはじめ、人的資本投資の議論の中ではさまざまな指標が提示されています。もちろんそれらに向き合いながらも、TBMの組織開発に必要な独自の施策・指標を設定することが大事だと考えています。

ここまでお話ししてきたように、人や組織・社会は、個々人の能力の足し算や掛け算によって拡大したり縮小したりしているのではなく、メンバー同士の相互作用やフィードバック、ダイナミックな生成によって変容するものです。

だから、例えばTBMでは出社すること、全社ミーティングである「Same Boat Meeting」に参加することを重視しています。メンバー同士が時空間を共にすることによる相互作用が大事だと考えているからです。同じように、出社比率や、全社ミーティングへの参画度合いと満足度の変化などを組織開発の指標としています。

これらの指標は、ISO30414など一般的な人的資本投資の視点では重視されていませんが、私たちの事業成長には重要な指標なんです。

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