横須賀工場は真の「ゼロイチ」を経験できる場所。企業理念体系 TBM Compassがその原動力

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2022年秋に稼働を開始するTBMの横須賀工場は、使用済みLIMEXや廃プラスチックを回収、自動選別・再生する国内最大級(処理能力:年間約4万トン)のリサイクルプラントです。その立ち上げに際して2022年6月に横須賀工場の工場長として入社した福山さん(写真右)、同じく6月に横須賀工場の製造・技術統括マネージャーとして入社した宮村さん(写真左)に、2022年2月入社のブランド&コミュニケーションセンター センター長の深澤がインタビューしました。

目次

#1. 飛行機の整備より創造性のある仕事がしたい

ーまずはお二人のこれまでの歩みについてお話しいただけますか。

福山:大学院を修了して社会人経験は18年目ですが、その3分の1に当たる6年間を全日空で過ごしました。総合職技術職として、メインの業務は航空機の整備です。同期は30人いて、みんな飛行機に触ったこともないところからのスタートでした。短期的な目標としては、担当するボーイング777について一等航空整備士の国家ライセンスを取得することなんですが、同期みんなで同じ目標に向かって勉強して、試験を乗り越えていくというのは、今も大切にしている経験ですね。ライセンスを取った後は飛行場で、整備責任者として飛行機1機を担当します。担当の発着機やトランジット機の安全性、定時性、快適性などをトータルに考えながら、整備を進めるんです。

ただ、整備というのは突き詰めれば、新品で買ってきた航空機をいかに新品の状態に維持するかという仕事なんですよね。こう言うと語弊があるかもしれませんが、創造性に欠ける。ライセンスさえあれば自分以外の人も同じことができてしまうんです。
飛行機に触ったこともない0の段階から整備士の資格を取るというのは、ある意味「ゼロイチ」の経験だったんですが、その後の仕事はその域にはいかなかった。なので、もっと創造性豊かな物事にチャレンジしたいという思いが湧いてきました。

ー飛行機の整備に創造性がないというのは面白い観点ですが、言われてみると確かに勝手なものを作っちゃいけないわけですもんね。

福山:家庭の事情で出身地の愛知県に戻ることになり、車の内装部品を製造するプラセスという会社に転職しました。メーカーに移ったのは、ゼロから何かを形のあるものを作りたい、そして作ったものでお客さまの生活を豊かにできたらいいなという思いからです。
その会社は海外展開もしていて、入社して3年目の2013年からヨーロッパのルーマニア工場に工場長として赴任し、その後現地法人の社長も務めました。作っているのは車のハンドル周りのスイッチボタンやエアコンのコントローラーなどの部品です。ルーマニアの工場には2018年までいましたが、自分にとっては濃密な期間でしたね。

#2. 残りの人生、心からワクワクすることにチャレンジしたい

ー宮村さんはどんなご経験を?

宮村:大学院を修了後、昭和電工に入社し、32年勤めて初めての転職です。32年のうち、ざっくり言って最初の半分は、化学工場を設計・建設する仕事をしていました。もう半分は、工場運営に関わる製造管理です。川崎に使用済みプラスチックをリサイクルして化学製品を製造する工場や高純度ガスを製造する工場など多様な工場があるのですが、さまざまな実験や解析をして、R&D部門と共に製造プロセスを設計して、工務部門と連携して建設し製造部門に引き渡す仕事です。
面白かったのは断然、前半の工場づくりですね。何もない場所に工場を建てる仕事は本当に楽しくて、寝食を忘れて熱中しました。それで、50代も後半になってこの先の自分の人生を考えたとき、今の会社に定年までズルズルいるより、もう一度あの頃のように心からワクワクするところでチャレンジしたいと思ったんです。

ーまさに横須賀では、リサイクル工場をゼロから作るわけですからね。

宮村:そう、本当にゼロからです。さっき福山さんから「ゼロイチ」という言葉が出ましたが、私は工場を作ってきたといっても化学工場を作る定石の様なものがあったので、0からというよりは、0.5からかもしれません。しかも工場だって1つ、2つ作れば大体道筋が分かってきますし。その点、TBMはまったく経験のないところからリサイクル工場を作るわけですから、本当にすごいことだと思います。

ーもう一度ゼロイチの仕事でワクワクしたかったという宮村さんに対し、福山さんのキャリアチェンジの理由は?

福山:ルーマニアの工場から日本に戻ってきてからも、いろいろな部署で経験を積んできたのですが、大きな転機は父親が8年前に病気で倒れたことでした。
父は中小企業の社長で、私はその背中を見ながら育ちました。ところが、常に第一線で働いていた父が、ある朝突然倒れ、半身不随となってコミュニケーションもままならない状態になりました。そこから人生について考えるようになったんです。
自分がもし明日死ぬとなったとき、「自分の人生は豊かだった」と涙を流して振り返られるくらい幸せだろうかと自問自答するうち、もしそうでないなら、自分は環境を変えた方がいいんだろうと考えるようになりました。特に、1年前くらいからその思いが強くなり、これまでの仕事で築いてきた“点”を、“線”で結んでいけるような新しい環境にチャレンジしたい、と転職サイトに登録しました。

ースティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチですね。「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか」「点と点をつなげる」……。

福山:はい、2005年のジョブズのスピーチです。あれ、3つキーワードがあるんですよね。「点と点をつなげる」「愛と喪失」「死について」。父が倒れてからあのスピーチを見たのも、自分のターニングポイントのひとつです。

#3. 全員がTBM Compassに賛同している強さ

ーその中でなぜTBMだったんですか。

福山:転職サイトに登録すると毎日1件くらい、何らかのスカウトが来るんです。その時、いちばん大切にしていたのが、その会社がやろうとしていること、会社が従業員に求めることが、自分の価値観と完全にマッチしているかというものでした。TBMの場合は、コーポレートサイトに書かれた情報がいちいち腹落ちする内容だったのと、「TBM Compass」がまさに自分の生き方にジャストフィットしたのが最大の理由です。

宮村:私もTBM Compassの存在は大きかったです。もう少しで定年だけど、まだまだ自分も活躍したい。しかもワクワクできるような仕事で、といったとき、優等性っぽい回答になってしまいますけど、社会にどれだけインパクトを与える会社なのかというのがひとつ。そして前職でいろいろな企業と付き合ってきた中で、小さくてもキラリと光る技術を持った会社ってすごく魅力的だったんですね。大企業より、うちはこれ1本でやるんだっていう会社が、これからは社会を変えていくと思うんです。

福山:私も既存の大企業に入りたいとはまったく思っていませんでした。これから社会を作っていく、革命を起こしていく、新しい産業を生み出すんだという意志を持って前進していく会社でないと嫌だった。それがTBMかなと感じました。

宮村:あと、前職のような大企業だと、やっぱり人が多いだけあって、「言われたことだけやっていればいいや」っていう人もいました。あと、セクショナリズムも強くて、隙間を埋めに行こうとしないとか。TBMに来て「いいな」と思うのは、誰かが自然と隙間を埋めに行くんですよね。他にも、言い訳をしないとか、仕事にノーから入らないとか、こうした文化は、まさしくTBM Compassがあるからこそだと思います。全員が全員、TBM Compassに賛同しているから、とにかく仕事がやりやすいと感じます。

ーああ、それは私も感じます。というか、私もTBMに入社してまだ半年だし、お二人もまだ3ヶ月ですよね。入社歴の浅い我々がTBM Compassについてこんなに熱く語り合っていること自体が、改めて考えるとすごいことかも(笑)。

#4. 工場の立ち上げ時点から横展開も意識

ー横須賀工場の概要と、お二人が今取り組んでいるミッションについて教えて下さい。

福山:横須賀工場は、使用済みLIMEXや廃プラスチックを回収してきて、工場内で自動選別し、LIMEXはLIMEX、プラスチックはプラスチックへとそれぞれ再生するという今までにないリサイクル工場です。リサイクル工場の建設は、TBMとして初めての取り組みである上、年間約4万トンという国内最大級のリサイクル処理能力という点からも、社会的な意義が大きく、失敗が許されません。厳しい条件下ではありますが、ここで成功を収められれば自分も会社もハッピーだし、自分の家族も含めて社会全体の皆さんに豊かな生活を提供できます。
さらに、短期的な目標は再生プラスチックという資源を安定的に生み出していくことですが、その次には日本中に同様の工場をつくっていくことが求められています。横須賀でスタンダードをつくり、それをそのままコピーペーストではないけれど、日本中、世界中に横展開していかなければなりません。

宮村:そう、まさにそこです。

ー今までにないリサイクル工場をゼロイチで立ち上げるだけでなく、それを横展開できるスタンダードにすることも最初から意識して作るというのは、まさに非常識な挑戦ですね。

宮村:まずはこの工場を立ち上げるわけですが、今の工場がベストではまったくないと思っています。非効率な部分や不具合は日々改善していかなければならないし、リサイクル技術って日進月歩なので、より幅広く廃プラスチックを受け入れていくなど、ここをマザー工場として精度をより上げていくために改善の余地はいくらでもあります。それと、リサイクル工場って社会的に重要な産業であることは間違いないんですが、決してイメージは良くないんですよね。どうしても3Kの代表職場のように見られている。この工場を、人手のかからないクリーンな工場にするというのはひとつの目標です。

福山:そこはひっくり返したいですね。工場のメンバーみんなの共通の思いです。

宮村:臭いを出さないとか、人手をかけないとか、世の中にはすでにそれらを実現する技術は存在します。それをどううまくアプライ(適用)するかだけですね。

福山:また、リサイクルするプラスチックの品質を上げていくというのも当然狙っています。今のリサイクルプラスチックって、素性がわからないものが多いんですが、そこにトレーサビリティという考えを導入するなどでブランド力を高めていきたい。あるいは、品質的な物性を担保したり、さまざまなやりかたで付加価値を付与していく。それらを今、全部いっぺんにやろうとしています。

ーこんな人に仲間になってほしいというメッセージをお願いします。

宮村:TBM Compassに共感してくれる人であれば、極論を言うと技術力とかスキルは要らないかもしれません。別にリサイクル事業とかプラスチックのことを知らずに入ってきても、何とかできると思っているので。

福山:その通りで、何とかする原動力というかエネルギー源が、まさにTBM Compassですね。
横須賀って、地球儀で見るとただポツンとした点でしかありませんが、ここでやろうとしていることは、地球全体を俯瞰する大きなビジネスです。地球規模でサステナビリティ革命を起こそう、絶対にやり遂げるぞという共通の意思があるのは、TBMの大きな強みだ思います。

ーお二人の話を聞いて、組織としてゼロイチを目指すとき、コンパス(羅針盤)の存在がいかに重要か、よくわかりました。ありがとうございました。

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