
異業界・異業種からTBMにジョインし活躍する、営業を担うLIMEX事業本部の佐々木さん(写真右)と、研究開発を担うテクノロジーセンターの新倉さんにお話を伺いました。スピード感を求められる部署で働くお2人に、「営業×開発の連携方法」「TBMでしか得られない成長と求められること」「自身が壁に当たったときの経験」などを聞きました。
※所属や業務内容は、インタビュー当時のものです。

#1. 難易度の高い無限の可能性を秘めた事業に携わりたい、その思いで入社
ーまずはお2人の前職のご経験と、なぜTBMに入社したのかを教えてください。
新倉:大学では基礎化学を専攻し、前職は、印刷業界でスマートフォンや家電製品に使用しているスクリーン印刷用インキの開発および製造に従事していました。日々、二、三の案件に対して、処方の立案やインキの試作、テストピース作製、物性測定、結果のフィードバックを繰り返し、より良いインキの開発に尽力していました。
そんな中でTBMを知ったのですが、率直にLIMEXという素材と、働く環境においてベンチャーならではの無限の可能性を感じたことが転職のきっかけです。新しい商材であるが故に壁にぶつかることもありますし、その壁はとても高いと思いました。しかし、自分自身の成長につながり、壁を乗り越えたときの感動や達成感は他では味わえないと思い転職を決めました。
佐々木:新卒で福利厚生をはじめ人事向けソリューションサービスを提供する企業に就職しました。3年間法人営業を経験した後、ウェブマーケティングやインサイドセールスチームの立ち上げにも携わりました。営業からマーケに寄っていく中で、個人の能力によらず効率的な営業活動をどうスケールしていくのか、をテーマに活動していました。
最終的には自身の予算、決裁範囲の中ではやり尽くしたという感覚があり、視野をより広げた業務に携わっていきたいと考えるようになりました。ベンチャー企業を中心に転職を検討する中で、最終的には市場が国内に限らず、世界に挑戦できるポテンシャルがあるTBMを選びました。

#2. 新素材開発だから難しい|プロジェクト推進において納得感を持っていただくための苦悩
ー営業や開発で活躍されているお2人。現在の仕事内容について詳細を教えてもらえますか?
佐々木:LIMEX Sheetや、LIMEXのインフレーション成形品を中心とする製品販売を行っています。営業では、お客様に対して世界の環境問題に対する危機感をお伝えし、我々の事業に共感を持っていただくことを第一に考えています。どうしたら一緒に取り組んでいけるのかを相談しながら提案をしています。具体的には、お客様が使用する資材をお伺いし、そこから何ができるのかを新しい用途開発も含めて検討しています。
ただし、私たちとしては環境負荷の低減に寄与できない提案は行いたくありません。ですので、プロジェクトを開始する前段階で、プラスチックの使用量やCO₂排出量に関するインパクトをライフサイクルアセスメントという評価手法を活用して算出しています。その上で、研究開発サイドとも相談し提案、お客様にとって「何となく環境に良い」ではなく、納得感を持ってプロジェクトを推進していただくことを大事にしています。
新倉:営業案件において開発部門が担っているのは、実現可能性をすり合わせていく役割です。お客さまの要望を、開発目線で見た時に満たせていればいいですが、満たせていない場合も多くあるため、どうやったらお客さまの要望を満たすことができるかを考えます。また、お客様の満足度をより上げるためのプラスαの価値提供を考えるなどして、導入に向けて尽力しています。お客様の満足度を上げるには、営業との連携がとても大事になってきます。
大企業では通常、基礎研究や製造技術、量産技術の担当部署は、複数の部門にわたって存在していることが多いと思います。それに対して、TBMの開発部門は、全ての技術領域を一気通貫で担っています。つまり、製品を完成させるために必要なことは「全て行う」というイメージです。
私の業務では、製造を外部委託することが主になっていますが、新素材のため委託先への説明、交渉が多く発生します。だからこそ、まずは自身の中でさまざまなものごとの基礎を理解すること、疑問点の回答を明確にすることが大切です。新素材開発であるため難しい部分は多いですが、全ての工程と向き合えるからこそ、実施できる選択肢も増え、それがメリットに感じることもあります。

#3. 【営業×開発】スピード感が求められるからこそ、プライドを捨てて話を聞く
ー実際に、TBMの営業と開発はどのように連携しているのでしょうか?
佐々木:基本的には、営業が案件を取ってきて開発に橋渡しするという流れです。両部門で素材・製品を提供する上で、何を満たさなければならないのかを洗い出すことからスタートします。売り上げももちろん重要ですが、どれくらいの環境負荷が低減しているのかをしっかりとまとめ、伝えています。環境負荷の低減も性能の一つだと思っています。
新倉:佐々木さんは、営業の中でもよく開発側へヒアリングをしにくることが多いです。スピードが求められているからこそ、綿密に情報共有、議論をする必要があるんですよね。さまざまな懸念点をピックアップし、ミスややり直しをいかにケアして、スピード感をもって進められるかが重要です。
佐々木:私は技術のバックグラウンドを持っているわけではありませんし、余計なプライドは捨てて、その道の詳しい方々に聞いてまわっています。社内外を問わないので、パートナー企業の皆様にもよく勉強させていただいています。
うまくいかないこと、障壁が発生することを予期・想定してものごとを進めることはすごく大事です。失敗することを前提に業務を遂行していくように心がけています。できないところにイノベーションが起きると思うんです。
新倉:うまくいかないことや障壁を、最初にどれだけ想定して進めるか…。佐々木さん同様、とても重要だと考えています。それを念頭に置くことで、予期せぬ問題ではなく、想定していた問題にとどめ、最低限の「キズ」にすることができます。得たすべての情報に対してリスクを念頭に業務を進めています。
また、私も社内外問わず意見をもらうことは多かったです。前職含め、TBMに入社した当初は、塗工の開発業務に携わっていたので、フィルムの知識はほとんどありませんでした。その前提があったので、インフレーション成形の開発業務を始めた当初も含めて、プライドなくさまざま方から意見をもらいました。そのおかげもあり、ゼロからのスタートでしたが、製品化まで漕ぎつくことができました。
#4. レジ袋有料化で味わったプレッシャーを通して成長したこと
ー2人が進めた仕事の中で、最も大変だったことは何ですか?
佐々木:レジ袋有料化のタイミングが一番大変でした。2020年7月1日に有料化されましたが、7月のタイミングに向けて6月納品で動いていました。納期を守ることに本当に必死でしたね。製品を届けなければならない義務感から、この頃はプレッシャーに押しつぶされていたように思います。
大きな案件を取れたとき、最初は国内製造で価格的に難しいところもありましたが、海外製造によってかなりコストダウンできました。これは開発と海外のパートナー企業との連携があったからできたことだと思います。
新倉:その当時、私は海外現地へ入り、原料となるペレット製造拠点の立ち上げから、インフレ(溶融した樹脂を押し出して空気を吹き込み袋状フィルムなどを製造するインフレーション成形のこと)製造拠点の立ち上げを行いました。佐々木さんも言っているように絶対に遅延できない納期が決まっている一方で、納期までの時間はあまりなかったので、当時は本当に大変でした。
しかし、開発者にとってうれしいことは、社会の中で自分が開発した製品を見られることです。これまでBtoBだけだったLIMEX製品が、レジ袋の案件を通して初めて消費者の方々の手に渡る姿を想像すると、私にとってさらなるやりがいにつながりました。

#5. どれだけ成功体験をつくれるかがTBMで活躍するポイント。サステナビリティ革命の実現は簡単ではない
ー働く上で意識していることや大事にしていることは何ですか?
佐々木:今意識していることは組織全体での成功体験を増やしていくことです。営業×開発の喧喧諤諤とした議論や産みの苦しみがありながらも得難い達成感がある製品開発は、TBMだからこそできる稀有な経験だと思います。少し早く入社していたからか、私は経験できたつもりでいますので、同じ達成感を皆に味わってもらいたいです。事業としてはまだまだこれからですが、過程も楽しんでもらえるようになりたいと考えています。
新倉:私は、TBMの仕事とは今まで市場になかったモノやアイデアを深めていくことだと思っています。だからこそ、壁に当たることがすごく多いです。世の中のネガティブなところをポジティブに変えていく必要があり、何のためにやっているのかを忘れてはなりません。世界が何を求めているのかを念頭に置き、製品開発をすることが重要だと思います。
佐々木:働く上で意識しているもう一つは、サステナビリティ革命に対して覚悟を持って臨む、ということです。TBMは「サステナビリティ革命を起こす」と標榜していますが、決して軽い言葉ではなく、それが簡単には実現できないことをよく理解しています。歴史上において「革命」とは、血が流れたり、これまでとは全く変わってしまうことを指します。当然抵抗勢力も数多くいて、簡単にはなし得ません。革命とはそういうものです。
この会社に入って驚いたことは、沢山のお客様から活動に対し期待や応援をいただくことです。会社としての覚悟をしっかり伝播していくことが、フロントとして働く営業の重要なポイントであると考えています。

#6. 結果を出さなければ意味がないことを痛感。TBMで得られる成長とは
ーTBMではどんな成長をしていると思いますか?
新倉:TBMで成長できたと感じるのは、結果を出すためのプロセスやメンタルを取得できたことです。結果を出すためであれば、ネガティブな感情をつぶしていけるようになりましたし、結果を出すことへのコミット感は前職とは比にならないレベルで持てるようになったと思います。常にできるために何をすれば良いかを論理的、かつ逆算思考で考えるようになりました。また、営業担当の人たちに「成功してほしい」という気持ちも持てるようになりました。だからこそ、強く発言することもあります(笑)。
佐々木:営業面のスキルとしては、経営者の方々に対してビジョンを伝える機会が増えたので、高い視座を持って思考し話すようになってきたと思います。社外の経営陣の方々に向けたプレゼンの回数は、社内で一番多いと思います。
ものづくりについては、分からないなりに見て触って研究するようにしています。創意工夫は机にかじりついても生まれないと思うんですね。自分でモノを触って、製造工程に足を運んで初めて見えてくるものがあります。当たり前のことなので怒られそうですが(笑)。
新倉:いかにお客様へのメリットがあるのかを基調として、採用されるために必死に考え、モノに触れています。開発者として、「現場・現物・現実」の三つを重視する「三現主義」は基本ですが、その回数は各段に増えたと思います。だからこそ、本当にいろいろなアイデアが出てくるようになりました。同じ使用目的であれば、何が一番重要なのかを捉えて代替案を複数持つことが重要だと考えています。

ー新倉さん、佐々木さん、ありがとうございました!