
2021年4月に新卒としてTBMへジョインし、石灰石を主原料とする新素材LIMEX(ライメックス)、再生材料を50%以上含むCirculeX(サーキュレックス)のグローバル市場開拓を担う久米さんと渡邊さんにインタビューを行いました!
現場配属から約半年で、マレーシアのビジネス支援プログラムへの採択、中国主催の国際技術アワードでのTOP20選出と、TBMの海外展開を加速させる成果を上げた2人に「どのようにプロジェクトを進めたのか」「新入社員研修を終え、実務の中で感じていること」「今後成し遂げたいこと」などを聞きました!
※所属や業務内容は、インタビュー当時のものです。

#1. 新卒1年目から任される、グローバル展開を加速させる仕事とは
ー TBMのグローバル展開に携わっている2人ですが、今回、それぞれがどのようなプログラムやアワードを担当したのか教えてください!
久米:私が応募したのは、マレーシアのJ-Bridge エスコートプログラム「DIGITAL TRANSFORMATION ACCELERATION PROGRAM」です。これは、日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所とマレーシアの大手財閥SUNWAY iLABSが共催する、日本企業と海外企業の連携・協業を支援するプログラムです。今回、TBMがこのプログラムに採択されたことで、2022年3月までの半年間、マレーシアにおけるLIMEXの製造パートナーや販売先の開拓を目的に、市場調査のサポート、現地パートナー企業とのマッチング、製品やサービスを紹介するピッチイベントの機会など、様々なご支援をしていただけることになりました。

ー プログラムに採択されたことで、マレーシアでの事業展開に向けた多面的なサポートを得られたんですね!続いて、渡邊さんが担当したアワードはどのような内容なのでしょうか?
渡邊:私が応募したのは、「100 Best Industrial Innovations for International Technology Transfer」という、世界の革新的な技術を評価する中国主催の国際技術アワードです。結果は、LIMEXが新素材部門でトップ評価を獲得、36の国と地域から約3,000件の応募があった中で全体のTOP20に選出され、中国政府と中国科学技術協会が共催する、技術革新の促進を目的としたフォーラムにてご紹介いただきました。
今回の選出によって、今後、中国で開催される環境問題や素材に関する講演会やイベント、他アワードへの優先的な招待など、様々なPRの機会を頂戴する予定です。実際に、今回のアワードの情報を目にした企業から引き合いもいただいたりと、徐々に反響が出てきています。

#2. 経営陣や他部門のメンバーも巻き込み、世界に挑む1週間
ー プログラムやアワードに向け、どのようなプロセスがあったのか聞いていきたいと思います。まずは久米さんから、マレーシアのプログラムについて応募した経緯や準備したことを教えてください!
久米:日頃からTBMを応援してくださっているジェトロ・クアラルンプール事務所から募集の紹介があり、書類と面接の選考のプロセスを経て採択されました。準備期間が1週間しかなかったのですが、マレーシアの市場動向、LIMEXに関心を持っていただいている企業の生の声を基に、LIMEXがマレーシアの持続可能な産業発展に貢献できることをまとめ、応募しました。
また、東南アジアの製造パートナーを開拓しているメンバーや、日々世界中のお客様に営業している海外セールスのメンバーと協力し、15分間のプレゼンにおける情報の選定や、メッセージのブラッシュアップをしていきました。
ー 1週間という限られた時間の中で、他部門のメンバーも巻き込みながら進めたんですね!取り組む中で特に大変だったことはありますか?
久米:サステナブルかどうか判断する際に、重要視される観点が各国で異なることです。国や業界によってリサイクルのしやすさや生分解性など、重要視する観点は様々なので、海外の方とのコミュニケーションでは、日本視点でのLIMEXの役割や価値をそのまま伝えるのではなく、その国の現状に合わせてカスタマイズする必要があります。そこで、海外セールスのメンバーからアドバイスをもらい、マレーシアのプラスチック包装の生産量や輸出先の法規制、石灰石の埋蔵量といった事実から様々な仮説を立て、選考に臨みました。
「最もサステナブルである」という世界共通の価値観や技術はまだありません。だからこそ、「私たちが考える、持続可能な産業発展に貢献できる方法はこれだ」と、信念を持って伝えられるように、引き続き挑戦していきたいです。

ー 続いて、渡邊さんに国際技術アワード獲得までのプロセスについて聞いていきたいと思います!準備期間や選考内容を教えてください!
渡邊:選考のステップは、動画プレゼンと書類審査でした。選考においては、技術の革新性や実現可能性など7項目に対する評価基準が設けられており、世界の著名大学の研究者によって厳正に審査されました。動画プレゼンの準備期間は2日間しかなかったため、自分が持っている知識や情報を駆使してほぼ1人で完成させました。書類の準備期間は約1週間程で、会長の角や、素材・製品開発の責任者、中国語を話せるアプリケーションエンジニアのメンバーと、訴求すべきLIMEXの技術面の特徴や中国語での表現について相談して進めました。また、特に上長であるグローバルアライアンス部 部長の中村には、書類やプレゼンの内容について何度もフィードバックをもらい、ブラッシュアップを重ねました。
ー 部門・役職問わず多くのメンバーから協力してもらっていたんですね。選考準備の中で特に工夫したことや、印象的なアドバイスはありますか?
渡邊:「LIMEXは中国が抱える様々な環境・社会課題解決に貢献できる素材である」と伝わるように、中国側の視点に立った情報の組み合わせ方を工夫しました。
中国は、海洋プラスチックごみの排出量、二酸化炭素の排出量が世界1位の国です。こういった現状に問題意識を持った中国政府は、「2060年にはカーボンニュートラルを実現する」というチャレンジングな目標を掲げています。そこで、中国が抱えている環境問題に対して、LIMEXが貢献できる可能性の大きさを示し、中国政府が掲げる目標達成に寄与できる素材であることを感じ取ってもらえるように、伝え方を工夫しました。
このような工夫は、中村から最初にもらったフィードバックがキッカケでした。「審査員はこれを読んで、革新的な技術ベスト100に選出しようと思いますか?私なら選びません。誰に何をどんな目的で伝えるか、考え抜きましょう」とアドバイスをもらい、受け取り手である中国側の視点に立って考えられるようになりました。
また、私も久米も、自分1人の力だけでグローバルで挑戦できるとは勿論思っていません。部門・役職関係なく、頼るべき人を自ら巻き込んでいく必要があります。TBMには企業理念体系「TBM Compass」で掲げられているValues*の1つである、「自分ゴトを拡げよう」を体現している人が多いので、アワードに参加する意義や目的、どんな助けが必要なのかを伝えて、力を貸してもらいました。
*…TBMの企業理念体系「TBM Compass」には、TBMの価値観であり、人格を形作るものとして5つのValuesが掲げられている。
「TBM Compass」詳細はこちら:https://tb-m.com/pdf/TBM_Compass.pdf

#3. グローバル展開の最前線で感じるプレッシャーとやりがい。その先で成し遂げたいこと
ー 今回の外部評価獲得だけでなく、幅広い業務を担当している2人。本配属後はどのような環境で挑戦しているのでしょうか?
渡邊:中国での事業展開を加速させるために、いつまでに何をするのがベストなのかを自分の頭で考えるだけでなく、実際に自らが率先して動いてプロジェクトを推進できる環境です。自分が動かなければ何も進まない、しかし、動いた分だけダイレクトに会社のグローバル展開を加速させることができます。そのため、大きなプレッシャーとともに、強いやりがいを感じながら取り組めています。
久米:私は国内、海外問わず複数のプロジェクトチームに入れていただき、実力と熱意ある先輩方とともに挑戦しています。TBMにおいて若手であることは関係なく、常にレベルの高いアウトプットを求められる環境です。
また、サステナビリティ領域は、各国で法規制が改正されたり、新たな技術が誕生したりと、日進月歩で進化しています。そんな中で、東南アジア地域のアライアンス戦略やCirculeX事業を推進するためには、スピード感を持って変化に対応する力が求められます。サステナビリティ領域の最新情報をキャッチアップしながら、優先順位をつけて対応していくことは、決して簡単なことではありませんが、難しさとともに、“サステナビリティ革命に繋がる仕事をしているんだ”という実感を得ることができています。
ー 高いレベルでのアウトプットを求められ、プレッシャーも大きい環境で挑戦している2人ですが、今後どのようなことを成し遂げていきたいですか?
久米:LIMEX、CirculeX事業を通じて、資源循環のインフラを国内外で構築していきたいです。まずは国内で、企業が事業活動で排出する使用済みのLIMEXや廃プラスチックを活用、循環させる仕組みをつくります。さらに、そこに消費者も巻き込み、資源を長く大切に使う文化を醸成する。そして、国内でできた仕組みや文化を、今回のマレーシアのような廃プラスチックごみが埋立られている地域にも展開していくことで、サステナビリティ領域のトッププレーヤーを目指していきたいです。
渡邊:中国全土でのLIMEXやCirculeXの導入実績を増やし、現地での資源循環システム構築を実現させること。さらに、現地のパートナー企業と協力して地域経済の持続的な発展に繋がる「地産地消の循環型産業」を創っていきたいです*。
代表の山﨑は、「資源消費大国である中国の社会問題解決に貢献しなければ、自分たちの存在意義はない」といつも言っています。そんな中国市場の最前線を、経験も知識も足りない新卒1年目の私に任せてもらっていることと、最高のメンバーと共に挑戦できる環境には感謝しかありません。中国、そして世界の持続可能な未来づくりに貢献することでTBMの存在意義を証明していきます。
*…TBMでは、中国全土におけるサーキュラー・エコノミーの構築を目指し、河南省にてLIMEX事業のフィージビリティスタディなどを推進している。
詳細はこちら:https://tb-m.com/wp-content/uploads/2019/11/191115_tbm_press-release.pdf
ー 久米さん、渡邊さん、ありがとうございました!


